【国際問題を英語で語ろう!②】「グローバリズム/グローバリゼーション」の本来の意味を理解しよう!

この記事は約12分で読めます。

はじめに

みなさん、こんにちは!

今回は、国際問題に関連するキーワードに注目して勉強する第2弾!

ズバリ「グローバリズム:globalism/グローバリゼーション:globalization」です。

今や、世界中がこの言葉への親和性を高めていますが、果たしてきちんと理解している人はどれ位いるのでしょうか?

「毎日、耳にはするけれど意味は理解していないかも・・。」と感じる方も多いのではないでしょうか?

と言うことで、今日は「グローバリズム/グローバリゼーション」と関連キーワードについて理解を深めて行きましょう!

意外に理解が曖昧な「グローバリズム/グローバリゼーション」

今日は導入部分での情報共有が多めです。

スキップしても良いです・・と言いたい所ですが、多くの皆さんと問題の共有をしたいので、宜しかったら読み進めて下されば嬉しいです。

私がこの点に疑問を持ったのは、大学生を対象に行っていた国際系の授業でのことでした。

学生にとって「国際系」の授業に関心があろうがなかろうが必須だったために、「寝る時間」として出席している学生が多いことも知っていました笑。

モチベーションのない学生たちに「なぜ皆さんにとってこの教科が必須になっているか考えたことがありますか?

なぜ日本人である皆さんはこの授業を受けなくては卒業できない仕組みになっているのでしょう?」と聞きました。

「ぽかーん」とする学生さん達。

もちろん積極的に答えようとする学生さんはあまりいません(あまり、というか全くいません)。

ですので、こちらから数名ほど指名して意見を言ってもらうのですが、その中で必ず挙がって来るのが、この「グローバリズム/グローバリゼーション」という言葉です。

「グローバリズムが大切なので、外国人への対応が必要だから」とか「グローバル人材を育成するため」など、指名すればそれらしい意見をお持ちなのです。

そこで私は、学生たちに率直に質問します。

質問の要点は以下の3つです。

「私達の世代では、グローバリズムについて教わりませんでした。グローバリズムってどういう意味ですか?」
「なぜグローバリズムがなぜ大切なのですか?」
「なぜグローバリズムという考え方の中に、外国人とか人材育成が関係するのか知りたいです。」

 

ご想像の通り、教室はシーンと鎮まります笑。

私は、「せめて①の質問に関しては、教えて欲しいのです。

グローバリズムとは何と教わったのか聞かせて下さい。

正解不正解は気にしなくていいですので、皆さんがどう教わったのか興味があるのです。」と問いかけます。

これに関しても、「グローバリズム/グローバリゼーション」という単語を出した生徒さん達も苦笑いするだけで、しっかりとは答えられませんでした。

指名して意見を言ってもらっても「良く覚えていないです」とか「良く分からないです」と言う返答ばかりでした。

いつから日本の教育に取り入れられたのか?

資料によっては「1999年日本における世界史教育では平成11年(1999年)以降学習指導要領のなかで基軸となる観点のひとつとして盛り込まれた。」とあります。

平成20年、日本政府は文部科学省、外務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省共同で「留学生30万人計画」骨子を発表しました。その趣旨の一つとして、以下の様に記されています。

「日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界との間のヒト、モノ、カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環として、2020年を目途に留学生受入れ30万人を目指す。その際、高度人材受入れとも連携させながら、国・地域・分野などに留意しつつ、優秀な留学生を戦略的に獲得していく。

参考リンク:グローバリゼーションと国際教育政策(高良要多氏)

日本の人材育成というより、アジアの優秀な留学生を受け入れる、という日本国益をはき違えたこの政府指針・・・。

これこそが下に紹介する文科省の言う所の「グローバリゼーションの課題」と思うのですが。

文部科学省のHPによりますと、平成21年から国際教育交流政策懇談会なる協議が文部科学大臣決定により開始されました。(当時麻生内閣、文科省大臣塩谷立氏)

参考リンク:国際教育交流政策懇談会(第1回)配付資料

これらの資料から分かる概要をご紹介します。

本懇談会の検討事項は(1)今後の国際教育交流・協力の指針、(2)具体的方策等、(3)その他、です。

そして肝心のこの懇談会の趣旨として、以下の様に紹介されています。
少し長いのですが、ご一読下さい。

いわゆるグローバリゼーションは、現象としては人、物財及び情報の国際的移動の活発化として現れている。経済面ではグローバリゼーションに伴い地球規模での自由主義・市場経済主義の拡大が進展している。これらは一方で多くの国・地域に経済成長をもたらしているが、他方では様々な問題も指摘されている
グローバリゼーションの進展は教育のありようにも影響を与えている。
(中略)
教育分野における、国際交流・協力は近年めざましく拡大してきているが、個々の施策・事業は、相手国からの要請への対応、国際機関の活動の一環として実施されてきている場合もあり、文部科学省が常に一定の方針の下で交流・協力をリードしてきているわけではない。
しかし、限られた人材・財政資源の下で効果的・効率的な国際教育交流・協力を進めるに当たっては、(中略)中長期的な国際教育交流・協力の指針となる考え方について併せて提言を得る。

平成20・21年からですので、約13年ほど前から躍進的に活発化した日本のグローバリゼーション政策

日本国民である我々は少なくともこうした国政全体の影響を受けて育っている、もしくは価値観を作っている、と言えます。

ただ、問題は、この「グローバリズム/グローバリゼーション」という言葉だけが独り歩きを始め、国民はその意味を殆ど理解しないまま、「世界の潮流はグローバリズム」とだけ思わされる点です。

この世論形成、世論誘導によって、まるで‟「グローバリズム/グローバリゼーションが是である”、と教育されて来た世代が、今社会人となって世の中を牽引しているのです。

グローバリズム/グローバリゼーションとは

 では、グローバリズム/グローバリゼーション:globalism/globalization(以降英単語で表示)を語群で見てみましょう。

 【globe】
名詞:地球、球体、球、世界、地球儀、天球

 【global】
形容詞:
1.グローバルな、地球規模の、全世界の
2.広範囲の、全体的な、包括的な
3.球状[球形・球体]の
4.〔変数などが〕大域の、グローバルな

 【globalism】
名詞:世界主義

 【globalization】
名詞:グローバル化、地球規模化、世界化、世界的拡大

参考辞書:英辞郎 on the WEB Pro



では問題です。

「世界主義ってどういう意味でしょうか?」

辞書的意味を理解しても良く分からないのが「globalism/globalization」

 辞書に書かれている日本語のままglobalism/globalizationを理解することは簡単です。

 では、世界主義/世界規模化とは何を意味するか、について説明が出来る人はどれだけいるでしょう?

調べて行く内に、とても面白いことに気が付きました。

globalism/globalizationWikipediaで調べると「世界の一体化」という概念が照会されます。

その中では、globalism/globalizationは「世界の一体化」の同義語である、説明されています。

一般的に、このglobalism/globalizationは、政治・社会体系や経済市場を「世界規模」で構築する概念を表わします。

社会学、歴史学、経済学的に見たglobalism/globalizationの起源は、18世紀の大航海時代から始まっている、という説明が多いですが、この頃から始まった植民地化を含めた政治、経済の世界包括化を狙った欧州によるglobalism/globalizationの始まりだと理解することも出来ます。

基本的な起源を理解した上で、現在のglobalism/globalizationは、更に政治的イデオロギーが色濃く反映されています。

例えば、「人類は地球に住む世界市民だ。国境を取っ払ってみんな仲良くするべきだ」とか、「モノやヒトの流れに国家間の障壁を取り払って、自由貿易や移民政策を推進するべきだ」などと言うのは、globalism/globalizationの目的から発せられる主張です。

しかし、世界中に色々な地域があり、国があり、民族があり、それぞれに発展してきた歴史があるのに、なぜそれを取り払わなくてはいけないのでしょうか?

お互いがお互いを尊重して、地球の上で「ご近所付き合い」することではダメなのでしょうか?

良く考えてみて下さい。

同じ民族間で発展をして来た人たちの領域・領土(A国)に、違う領域・領土(B国)から違う民族・文化・歴史・価値観を持った人が入ってくるとしましょう。

このB国の人達は、なぜ自分の国があるのに、A国に来る必要があるのでしょうか?

選択肢1:A国が好き

選択肢2:B国にいるのが辛いから

選択肢3:A国で商売を広げて儲けたいから

選択肢4:やがてA国をB国民の領土にしてしまいたいから

ここで、日本人として思うそれぞれの選択肢別の「正義・価値観」を考えてみます。

選択肢1:A国が好き
選択肢2:B国にいるのが辛いから
選択肢3:A国で商売を広げて儲けたいから
→「郷に入ったら郷に従え」の様に、B国の人はA国に敬意を表し、合法で労働をし、税金を納め、違法行為や迷惑行為を慎み、秩序や治安を乱したり、A国民に損害を与えてはいけない。であれば、温かく迎えてあげられるし、共存できる。基本的にはA国の利益にも帰することが求められる。

 

選択肢4:やがてA国をB国民の領土にしてしまいたいから
→「A国に来る理由」としては到底受け入れられない。

 

要するに、国際法上の秩序では選択肢1~3は可能であり、地球上にある殆ど全ての国は、自国の「国家主権」と「防衛ライン」を守るための「外国人の受け入れ」「外国企業の招致」に関する法律を定め、その規則の中で異なる国の人達の進出を許可しています。

鎖国状態にある国は殆どありませんので、これ自体もglobalism/globalizationの一環ではありますが、「自由自在に」という事を許可している国は一つもないはずです。

この様な議論をすると、B国から自分の意志でA国に来た人が「A国で差別を受けた」とか、B国に居られない理由があってA国に来た人が、A国で犯罪を犯したり、A国民に暴力を働いたり・・という現に世界中で起きている現実を無視し、globalism/globalizationを否定すると「外国人を差別する考え方だ」と極論を述べる人もいます。

もちろん、世界中の違った国に住む人同士が、お互いの価値観を認め合い、意見交換をし、仲良くすることは非常に大切なことです

ところが、今の世界は「無差別」であることと「無秩序」を一緒にしてしまっている傾向がある様な気がするのです。

ここで、「世界化」と「国際化」の概念を混同している人が多いかもしれない、という私の仮説に飛びます。

GlobalとInternationalの違い

Wikipediaによる説明が端的です。

「global」と「international」、「globalization」と「internationalization(国際化)」という語は、意味する範囲が異なる。

「internationalization」は「国家間」で生じる現象であるのに対して、「globalization」は「地球規模」で生じるものであり、国境の存在の有無という点で区別される。※「内政不干渉の原則」、「主権国家」、「コングロマリット」も参照

「international」に捉える=世界地図を見て国境を意識し、国家間の問題を考える。

「global」に捉える=地球儀を見ながら地球全体の問題を考える。

 

「国境を意識するか」「国境を意識しないか」の違いなのではないか、と理解出来ます。

これを元にすれば、internationally もしくはglobally に捉えるべき事象ごとに言葉を変えるべきで、これらをごちゃ混ぜにして「globalism/globalization」と概念を統一してしまうのは如何なものか、と疑問を持たざるを得ません。

個人的な意見としては、この地球上に存在する全ての国家には「国境」があり「主権」がある訳ですので、どちらかと言うと、全ての問題は「international」に帰属しても良いのではないか、と思います。

ただ一点、「global」な見地に立って、要するに地球全体として考えるべきは「秩序を保つことによる平和」です。

全ての国家一つ一つが、国際上の秩序を守り、お互いの国を尊重し、先程申したような、良好な「ご近所付き合い」をするで、「global peace」を守れるのだと思うのです。

まとめ:globalism/globalizationとinternationalism/internationalizationを分けて考える力をつける

 今回のまとめです。

・globalism/globalization
=世界の一体化(国境を意識しない)=世界を地球規模で捉えること
・ internationalism/internationalization
=国際化=国家間の国境を尊重しながら世界を捉えること

 

 今回は、globalism/globalizationの潮流の背後にある政治的イデオロギーやそれらが目指すものについて細かくは触れませんでした。

しかし、現在我々が教育や社会の中で使うglobalism/globalizationの意味の本来の意味については、良く理解して置くべきです。

そうすると、本当はinternationalism/internationalization=国際化的概念の方が当てはまるのではないか、という現象が沢山あることに気が付きます。

これを全てまとめてglobalism/globalizationと理解してしまうことは、とても危険です。

その点では、今般のglobalism/globalizationに関する日本の教育では、「internationalism/internationalization国際化」に関する概念が完全に欠けています。

今後、皆さんがglobalism/globalizationについて話し合ったり意見を言う時には、globalism/globalizationの本来の意味を踏まえつつ、「地球儀的」に考える問題なのか、「国際的」に考える問題なのかを使い分けましょう!

併せて読みたい:【国際問題を英語で語ろう!①】「少子高齢化」は英語で何と言うの?

コメント

タイトルとURLをコピーしました